日本政府は大きな政府?

税負担率で測ると極小なんだけど…

政府の大きさを測る方法は簡単ではないが,もっとも単純な方法としては税負担率(税+社会保険料のGDPに対する比率)から推定する方法がある. 政府活動の財政的根拠になっているもっとも基本的なものは税であり,税負担の大きさは政府活動の大きさと比例していると考えてよいだろう.

この指標で測ると,日本の税負担率は25.8%と主要国の中で最低になっている. OECD諸国の平均36.3%よりかなり低い. 小さな政府の代表格であるアメリカでも26.4%と日本より税負担率が高くなってしまっている. 一般的な認識として,日本の政府は比較的大きいと考えられていて,実際政府活動が生活や経済活動の隅々まで介入してくるイメージがある. 税負担率の数値と実際のイメージが一致しないのが単に誤解でないとするなら, 実際にはこの統計数値に現れてこない何かがあるからだと考えられる. 以下に税負担率の数値とイメージが乖離する理由になっていそうなものをあげる.

かくれ肥満なの?

税,社会保険料,公債のGDPに対する比率
対GDP比 税負担の構成比
税負担 公債 税負担+公債 個人所得税 法人所得税 社会保険料
OECD諸国平均 36.3 ================== 26.0 9.3 8.3
日本 25.8 7.7 33.5 =============**** 18.4 12.2 16.3
アメリカ 26.4 4.6 31.0 =============*** 37.7 6.7 11.7
イギリス 35.8 3.5 39.3 ==================** 29.8 8.1 6.8
イタリア 42.6 2.5 45.1 =====================** 25.5 7.6 5.6
スウェーデン 50.2 -0.1 50.1 ========================= 30.4 4.8 5.8
ドイツ 36.0 3.8 39.8 ==================** 25.1 2.9 17.6
フランス 44.0 4.1 48.1 ======================** 17.3 6.6 9.3

※週刊東洋経済2006年09月16日号,野口悠紀雄:“通説粉砕WOW! WOW!経済塾”の記事をもとに作成. 税負担と税負担の構成比は2002年のデータ,公債の欄は2003年のデータ. 税負担も公債も2002年と2003年の差は小さいと考えられるので気にせず混合して計算してある.

参考資料


はたいたかし
2006-09-10
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